秘密・・・ 素直な気持ち スザクの言葉で落ち着きを取り戻したルルーシュは離宮にある自室でスザクの話を聞く事にした。 「随分シンプルな部屋だね・・・皇族の部屋だからそれっぽいの想像してたんだけど」 意外だなというようにスザクがルルーシュの部屋を見回す 「そんなに派手なのは好きじゃないからな。それに機能的ではない」 となんでもないように言いながらティーポットにお湯を入れお茶に支度をする。 「そんな事も自分でやるんだ?」 感心するスザクに少し悲しい顔をしながらルルーシュが答える 「隠し事があるからな・・・自分の事は殆ど自分でやるようにしてるんだ」 カップに紅茶を注ぎながらいうルルーシュ。その表情を見るとスザクは胸の奥がつきんと痛むような感覚になる。その痛みを和らげるように注がれた紅茶から良い香りが立ち上る…落ち着く気分と同時にこの皇女・・・もとい皇子はどれ程の苦悩に悩まされてきたのだろうと思うとやりきれない気持ちになっていた。 今まで自分はこの人の何をそんなに恨んでいたんだろう・・・。会えない時間…わからない事が多すぎたんだ。 初めて会ったルルーシュは綺麗でとても引かれた…それは見た目も有ったが多分自分と同じだと感じたからだ。それなのにルルーシュから出た言葉は自分が望んでいたものと違ったから…とてもそれが悲しかったんだんだ。大人たちに都合のいいように使われているのは同じなのにルルーシュまで同じ事を言うから…だからそれがすごく許せなかったんだ。 でも真実は違っていた。確かにスザク自身を利用しようとしていた事には変わりないがそれは仕方ない事だなと今になっては思える。 だってこんなにも愛おしく見える彼を…どうしたら憎めるんだろう・・? 「君に話したいことがあるんだ」 注がれた紅茶に一口くちをつけると真剣な表情でスザクが話し始める。 スザクが今まで自分がどう育ってきたか、周りの人の目や扱い。 そしてルルーシュに対して思っていた事を話した。 もちろん女性に対しての自分のことも… 話し終わるとルルーシュは俯いて黙ってしまった。 「こんな話聞くの嫌だったかな・・・でも、後もうひとつ話したいんだけどいいかな?」 ルルーシュは頷くだけで言葉は出さなかった。 「本当はこの婚約を駄目にしようとしてここに来たんだ。僕から断ったら外交にも問題出るだろうからね…だから君に少し仕返しする気持ちでいたんだ。きっとお姫様だから少し脅してみれば僕とは結婚したくなくなると思ってたから、でもルルーシュは男で…男ってわかってからはもっとひどい事を考えたんだ…ちょっと僕どうかしてたよね・・・だって男ってわかってからも君にすごくどきどきしてたんだ。それを自分で認めたくなかった。だからそんなこと思ったんだと思う・・・。」 スザクが話しているとルルーシュの瞳が悲しげに揺れるのが見えた。そしてまた俯いて「・・・すまない」とだけ言ってまた黙ってしまった。 そんな様子を見てスザクは笑ってしまった。 「な・・・!なんで笑うんだ・・お前は怒っているんだろう・・私が憎いんだろう・・?」 「いや・・そうだったけどそれは僕が一方的に君が好きでそれが届かないからって逆恨みしてただけだから。でも今は違うよ。」 にっこりと微笑むスザクの笑顔をはじめてみたルルーシュはその笑顔にドキンと大きな鼓動を立ててしまう。 それに色々な事実を急に言われてどうすればいいかわからなくなってしまいもう軽いパニックを起こしているんだろう。自分では気付かないうちに目に涙まで溜まってしまっていた。 そんなころころと表情の変わるルルーシュを見てスザクはかわいいなとおもう。もう男とか関係なくルルーシュのことがたまらなく好きになっていた。今まで感情が見えなかったルルーシュの所々に出る本心がとても可愛く見えてしまう。 スザクは涙目になっているルルーシュの横に跪いきルルーシュの手を取る。 「今も君が好きだ。国の為とかじゃなくただ君と一緒にいたい・・・駄目かな」 そういわれたルルーシュは驚きで溜まっていた涙は引っ込み一気に顔が赤く染まる。 「な、な、なに言ってるんだ!私は男だぞ!そんなの間違ってる!きっとお前はまだ勘違いしているんだ。スザク・・!」 「勘違いなわけない!!君が男でも女でも僕にとって特別なんだ!」 そう言ってスザクは真剣な顔で握っていたルルーシュの手をきつく握る。 「…っスザク…!」 そんなスザクを見てルルーシュは本気なのだと思った。 「ルルーシュは俺のこと全部知って嫌になった?」 「そんなことはない・・・ただ・・こんな風に言われるのは初めてで・・・わからないんだ」 視線をはずすルルーシュの頬を掴み「じゃぁこれからわかればいい」といって頬に軽くキスをすると耳まで赤くしてスザクを見る。 そんなルルーシュの顔を見ながらスザクはにこにこと笑みを浮かべる。 自分の気持ちに正直になるというのはとても気持ちのいいことだな。とスザクは生まれて初めて思う。 10/02/03 修正。 |