pleasure









〜2〜






 

 


「君大丈夫?どこか怪我したの?」

自己紹介をしたのに黙ってしまったルルーシュを心配してスザクがしゃがみ込み手を差し伸べてルルーシュに聞いてくる。
その時に触れた手から電流が走ったようにピリピリとすごいエネルギーを感じた。

驚いて勢い良く身引いてしまったがスザクもその反応に驚いたらしく伸ばされた手はそのままに固まってしまっていた。

「怪我はしていない!いきなり触れるな!」

警戒心が増したルルーシュを困った顔で見るスザクはルルーシュの腕の傷を見つける

「嘘言わないでよ。腕のところ怪我してるじゃないか…うちおいでよ。手当てしてあげる・・・あ、
その前に名前・・・教えてくれる?名前も知らない人うちにあげられないからね」

よいしょと立ち上がりルルーシュに手を差し伸べてくる。
その手を振り払い冷たく言い放つ

「手当てなど要らない。すぐ治るし…俺はもう帰る…」

そう言って立ち上がって翼を羽ばたかせて飛ぼうとしたが違和感に気付く・・・

「え!?―翼がないっ!!」

何故だどうして・・・・!!考えられるのは2つ俺の生気が0に近くなっているか…これはない…ほんの一週間前に質の良い生気を取ったばかりだ…。
だとしたら…先ほどこいつに触れられたせい・・・?あの電流の様なあれのせいか??

「やっぱりお前俺に何かしてるんだろ!!なんなんだよ!いったい―!!翼無いと帰れないじゃないかっ!!あ〜どうしたら・・・」

怒った。と思ったら不安な顔…ぐるぐると表情が変わるルルーシュを見て思わず吹き出してしまうスザク。

「ぷっ!!・・君、可愛いね」

同じ場所を行ったりきたりしていたルルーシュがピタリと動きを止める・・・

「(可愛い…だと…!!こいつは本当に何を言ってるんだ?俺は悪魔なんだぞ…!その俺に向かって、可愛いだと!こいつ・・絶対後悔させてやる・・・!)」

知らぬ間にルルーシュのプライドに傷をつけてしまったスザクはそんな事知る由もなくにこやかに微笑んでいる。

「で?君の名前は?」

「・・・ルルーシュだ。」

ふに落ちない機嫌の悪い声で答えるルルーシュとは正反対にスザクはルルーシュの名前を聞き「綺麗な名前だね」とにこやかに言う・・・本当にこの人間はいったい何者なんだろう?
でも今は飛んで帰る事も出来ない・・・この人間にはどうせ正体がばれているんだ…これから別のところにいく宛なんて無い・・・。
仕方なしにこのスザクという者のうちへ行く事を決める。

少し歩くと神社の社が見えてきた。
それに昔からあるのだろう古いが情緒のある和風な建物。見目珍しくしばらく見ていたらスザクに声をかけられた。

「この神社はおじいちゃんのなんだ・・・今は皆それぞれ用事があってうちに僕だけだから気にしないで上がってくれる?・・・あ、お手伝いさんはいるけど僕の友達だと思って気にしないと思うから」

玄関の前で立ち止まっていたから遠慮しているのかと思われたらしくスザクの家庭事情を話された。

「お手伝いって・・・お前お坊ちゃんか?」

人間界に詳しいわけではなかったが本などでは色々情報は仕入れている・・・お手伝いさんがいるって事はそれなりに財力がある家庭という事だろう。

「お坊ちゃんって・・・一様父さんが会社の社長やってるからね・・・・そうなるのかな・・・?」

あんまり関係ないし。といって笑っているスザクはなんだかあまりその話には触れて欲しくなさそうだったのでそのまま聞かないようにした。

「離れのこの部屋使って構わないから・・・ほらそこ座って腕の怪我見てあげるよ」

和室の客間のようなところに通され座らされる

「怪我なんていい・・・どうせすぐ治る」

そう言って自分の腕を見るといつもすぐ止まるはずの血が止まっていなく結構な大怪我に見えた。

「そんなに血ぃ出してなに言ってるんだ・・・でも、悪魔も血赤いんだね」

そういいながらルルーシュの手を取る

「うわっ!!」

まただスザクが触ると何でかへんな刺激が走る・・・こんなの今まで何人も人間は見てきたし触れたりもしたけどこんな事初めてだ・・・。

「動かないで・・!」

まだ治療を拒んでいると思っているスザクはルルーシュの腕を離そうとはせず傷口をまじまじと見ている。一方のルルーシュはスザクから与えられる感覚に敏感に反応をしてしまう自分に驚き羞恥で顔が赤くなる。

「そんなに深くは切れてないね・・・」
そっと傷の手当をしながらルルーシュを見る。
そうするとルルーシュの顔が赤くなっている事に気付きその頬に手を伸ばす

「―――ふっ!!」

頬に触れられても感じる感覚にビクッと震えるルルーシュ…スザクはそれに少し驚きながらもその手をどける事はせずにルルーシュに話しかける。

「悪魔って・・・人食べるの本当?」

スザクが興味津々な様子で聞いてくる

「・・・人、なんて・・食べない・・・。ただ生気を少しもらうだ、け・・」

知れずに声が震えて出る。何か身体の奥からじわじわと熱くなっていく感覚を逃がすように冷静に話すようにしてみる。

「ふぅん・・・そうなんだ…残念。君になら食べられたかったのに・・・」

頬にあった手を首筋の方に移しながらスザクが残念そうに言う。

「んっ・・・」

声が自然と漏れてしまう・・・一体なんだっていうんだ・・?

「…でも悪魔が人を魅了する姿だって言うのは本当なんだね・・・びっくりするほど君・・・綺麗だもん」

顔の近くでそう囁くようにいわれるとその言葉にも体が震える――こんな感じ知らない・・・。

「・・・も・・っ!離れろよ・・・!」

ルルーシュが知らぬうちに涙ぐみながらスザクに伝える。

「ん〜…どうしようかな…?」

ふざけていっているようにしか聞こえない・・・・このスザクはさっきまでのスザクとは別人のように思える・・・。

「離れないと・・・っ!!」

左目を赤くして力を使おうとする・・・・がすぐに色は元に戻り魔力も使えなかった。

「離れないとどうするの?」

ニヤニヤと人の悪いような笑みをこぼしながらスザクがルルーシュを見つめる

「・・な、んで・・・!!どうして使えないんだ・・・!」

飛ぶための翼は消え、魔族として誇れていた力も使えない・・・これじゃあ人間と同じじゃないか・・・!

混乱しているルルーシュを見て楽しそうに笑うスザクはその動揺をあおるようにルルーシュに近づく。そして…

「―――んっ!!」

突然に唇を奪われる・・・そうして次の瞬間に感じたのは今まで感じた事の無いくらいの強い生気…。

体内に力が降り注いでくる感覚はあるがそれとは別に腰や足が麻痺したように力が抜けていく。

体の奥がジンジンと焼けるように熱い・・・頭が溶けてしまいそうなほどの快感が襲う。

「ふぅ・・・んっ」

時折漏れる息まで熱を帯びて自分が自分ではない感覚に陥る。

「ふっ・・・すごい感度いいみたいだね・・・」

ルルーシュの唇の端から漏れた涎を親指で拭きながらスザクが楽しそうに聞く

「・・はぁっ・・・はぁっ・・」

息を乱しながらスザクを睨み付ける

「そんな目で煽らないでよ・・・今日はもう遅いし、また明日ね」

いいながら客間を出て行くスザク・・・また明日って・・・こんなところさっさと出て行ってやる!!

・・・・とは言うものの足腰に力が入らずに立ち上がれないルルーシュはそのまま敷かれている布団に寝そべるしかなかった。

「(明日になったら翼・・・戻ってくれないかな・・・)」

そんな淡い期待をしながら眠りについてしまったルルーシュはこれから人間界でどうなっていくのか…?

 

10/02/05   修正。