pleasure








〜5〜





目が覚めるとあたりは暗闇だった。
体中には生気で魔力が満ち満ちていた…が体の方は痛みやダルさやらで動きにくい。

「(くそっ魔力さえ使えればこんな痛みすぐに治癒するのに・・・)」

悔しさからくる涙が目に滲む・・・。

「ん・・・」

真横からのその声にルルーシュがビクッとする…隣で寝ていたスザクがルルーシュの動きを感じて目を覚ましそうだった。

「(こいつ・・・隣で寝てたのか・・・)」

隣でまた寝息を立てているスザクの顔を覗き込む・・・

まだ幼さの残るその寝顔をルルーシュは見つめる。

「(どう見てもただの人間・・・。)」

何でこんな奴に何も出来ずにあんな事・・・・

先ほどの行為を思い出すとルルーシュは口をわなわなと振るわせる。

思い出し始めると止めどなく思い出される自分の失態・・・「あーー!!」と頭の中で叫び頭を掻きむしる。
その場にいる事に耐えられなくなって部屋をでる。


部屋を出ると満月が出ているのが見えた。その月にひきつけられる様に痛みを堪えながらゆっくり外に足を運ぶ

「(・・・月・・満月なのに・・・やっぱり力使えないのか・・・)」

悪魔の力は満月の時一番に発揮出来るのに今の自分は何も出来なかった・・・

「(翼も・・・でないな・・・)」

「なにしてるの・・?」

「!!」

後ろから声をかけられるルルーシュ・・・その声の主は思った通りスザクだった。

「別に・・・ただ少し月が見たかっただけだ・・」

「そうなんだ・・・出て行ったのかと心配した・・・」

少し寂しそうに笑うスザク・・・

「で、出て行きたいがどこにもいけない・・・!」

その寂しそうな顔に少し引っかかりながらも言葉強く反論する

「そっか・・・」

やっぱり悲しそうに笑うスザク・・・その顔に少し胸を掴まれる思いがする・・・。

「ところで…体、大丈夫なの?」

ころっと表情が変わり意地悪そうに微笑みながら聞いてくる・・・まるで大丈夫じゃない事がわかっているように。

「っ・・・大丈夫だ!!心配するくらいならあんなことするなっ!」

痛みや恥ずかしさを思い出し顔に熱がこもる

「嘘つきだなぁ・・・歩き方おかしいよ!無理しないで寝てなよ・・・っと」

「ほわぁっ!!」

ルルーシュに近づきさっと抱き上げるスザク・・・急に抱き上げられるルルーシュは変な叫び声を出し暴れる

「おっ!おい!!おろせっ」

「ちゃんと歩けないでしょ?連れて行ってあげるよ・・・それとも荷物みたいに担がれたい??」

「う・・・・」

スザクの言葉に大人しく従う事にいた・・・不服だが・・。



―――――――――――――――


チュンっチュン・・・


朝日が差し込みまた目が覚める・・・おかしいな・・・朝に目が覚めるなんてそう思うとその目覚めた原因がわかった・・・
それはスザクが後ろからくっついて寝ていたために寝苦しく目覚めたのだと・・・。

「このっ!離れろ!!」

ぐいっと力を込めてスザクを離す

「・・・ん?・・・あ、おはよ・・・」
そういいながらせっかく離したのにまた抱きとめられる

「寝ぼけるな!!離れろっ!」

冷たくあしらうルルーシュに少しふてくされる様な感じを見せてからハッと気付く・・・

「今何時?!・・・うわっ・・・ヤバっ・・学校遅刻だ・・・」

「学校って・・・お前いくつなんだ?」
若いとは思うが東洋人は年齢不詳だというし…この男の横柄な態度からもうとっくに成人してる物かと思っていたが・・・
「え・・?17だけど・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

17?・・・17っていったか??ちょっと待て・・・そんな子供におれは・・・俺は・・・・この俺が…!!

悔しさで泣きそうだ・・・

「どうしたの?僕用意するから君もこれに着替えててね」

はい。と手渡された物は黒い服・・・

「な、なんだこれは・・・?」

「君の制服。学校行くんだから早く着替えてね」

当たり前のように言うスザクに驚愕するルルーシュ

「何で俺が行かなきゃ行けないんだ・・!関係ないだろっ」

「僕が一緒に居たいんだからしょうがないでしょ・・・それに君1人じゃ何も出来ないじゃないか僕と来た方がいいよ」

にっこりと人の良い笑みはしているが言ってる事がめちゃくちゃだ・・・ただ本当に1人でいても何も出来ない・・・それに人間の多くいるところで何か自分の状況が変わるかもしれない・・!そう思い着替える。

「あ・・・着替え終わった?」

学生服に着替え終わったスザクがルルーシュに話しかける。
その姿は間違いなく普通の学生・・・魔力が使えないにしても魔族の自分はこんな子供に・・・

「はぁ〜・・・」

「何??ため息なんかついて・・・ほら行くよ」


スザクの後を付いていき送迎用らしい車に乗り込む

「・・・どんだけお坊ちゃまなんだ・・・」

ルルーシュが小さく呟いた。




10/02/08   修正。