pleasure









〜9〜









帰りの車内なぜかスザクが話しかけもしてこないし触ろうともしてこない。
何かの書類を一生懸命読んで真剣な表情をしていた。

あまり見ない大人しいスザクを見てルルーシュは違和感を覚える

今日人間界の学校にはじめてきた時に大人達と話す別人のスザク…あの時のスザクは本当に知らない人物に見えた。
こうして黙っていると顔立ちもあってかとても好青年に見える。
優しそうな瞳に茶色のふわふわとした髪の毛…少し妹と弟に似ている。・・・・人間界に来てまだ2日だが色々な事が有った為にもう何日もあっていないようだ・・・少しならず寂しい。

「ん・・・?僕の顔に何かついてる?」

スザクの顔を見続けていたために不審に思われ質問をされる

「あ・・・いや、何を見ているのかと思って・・」

咄嗟にどうでもいい質問をする。

「あ・・・これ?」

書類を指してルルーシュに聞くスザクに首を縦に振りそうだと伝える

「来週やる文化祭の企画書・・・僕一様生徒会役員だからね・・・事情があってあまり顔出せてないけど・・・」

いいながらまたその書類の束に目を移す

「事情?」

「・・・まぁ家の事もあるけどその文化祭で少し出し物に出るんだ・・・その練習で僕は今生徒会に出なくてもいいってなってるけど自分の仕事はしないとね」

スザクが書類から視線をそらすことなくルルーシュに説明する

「そうなのか・・・」

スザクの忙しそうな様子にルルーシュはまだ聞きたいことはあったが口を閉じ車内から空を見上げる。
まだ太陽が高い位置にあり自分の起きている時間を思い知らされる。こんな昼間に活動している悪魔なんていない・・・そう思っていると急に眠気が襲ってくる。

うとうとと船を漕いでいるルルーシュを見てスザクが笑みをこぼす

「(あ、なんか可愛い・・・)」

その様子を見てスザクが思った素直な事・・もう完全に眠ってしまっているルルーシュに自分の制服を掛ける。
その寝顔を見ながらスザクは蔵で見つけた巻物を思い出す。

「(本当になんか運命みたいだなぁなんて思ったりして・・・)」

スザクはルルーシュを見つめながらその絹糸の様に滑らかな黒髪に手を通す。さらさらと指を通っていくのを感じながらルルーシュの寝顔を見ると少し微笑んだ様な気がした。

その笑顔にドクンっと胸をつかまれる。

「(うわ・・・はじめてみたかも・・・)」

ルルーシュと出会ってからはじめてみた笑顔…それにはルルーシュの意思は無かったがスザクはその笑顔を見て心が温かくなる思いをした。


―――――――――――――――――――――――――――

ふわふわとした感じが体を包む。
暖かくて・・・今まであまり感じた事のない気持ち・・・そんな心地良い思いをしていると急にガクンっと引っ張られる。

「おい・・!ルルーシュ!」

つよい刺激が与えられビクッと体が反応する
その刺激は体に与えられたものでわ無く意識に与えられた物だとルルーシュはすぐに気がつく。

それは今いる場所が真っ白な空間で何も無い部屋のような場所で現実ではないと確信する。

「ここは・・・」

口に出しながら思いついた場所はCポイント。・・・つまりコンタクトを取る場所。
古い手段で今ここに来るまでは知らなかったが教科書や参考書で見ただけの場所だが一様の知識はあった。でもおかしい自分では今くることすら出来ないはず・・・魔力はおろか翼まで出せない自分にはここに来る術は無いはずだ・・・という事は誰かに・・・。

「ルルーシュ・・!今までお前は何をしていたっ!!」

「・・・・CC!?」

シーツーと呼ばれた女は怒りを露わにしてルルーシュを睨み付けている。CCはルルーシュの母の友人らしいがその容姿は自分と同じかそれより若い…本当に「悪魔」という言葉が似合う人物だ…そう思うのはルルーシュが小さい時から…幼い頃から知った仲だが一方的にCCがルルーシュに絡んではひどい目に合わされる事が多かった…が何か困った時は頼りになる姉のような人だった。

「あ〜そうだ。CC様だ!・・そんな驚くという事は今までのサインも全部気がつかなかったんだな・・・・この空間にお前を呼び出すのも苦労した・・・いったい何があったんだ・・?」

心配そうに言ってくるCCへ今自分に起きていることを説明する。

「・・・ん〜翼も出なければ、魔力も使えない・・・それではここに呼び出すのも苦労するはずだ・・・」

悪魔同士の連絡手段ならいくらでもある。相手の魔力を察知して直接頭に語りかければ話なんていくらでも出来る。
それがルルーシュに対して取れなくなってから色々試したがどれも反応が無く仕方なしに昔人間との交渉に用いれられていたこの方法でルルーシュを強制的に呼び出したのだ。だがこの方法で呼び出せるのは意識体だけ…話は出来るが接触する事は出来ないのがこの方法の難点だった。

ルルーシュに起きている状況が飲み込めたのか納得するCC。変わりに慌てるのはルルーシュだ

「そんな簡単に納得したように言うな!俺はこの2日で本当にえらい目に合っていて今でも状況が飲み込めないんだ・・!」

苛々したように言うルルーシュにCCがにやぁっと音のしそうな笑みを浮かべる

「えらい目・・・とはいったいどんな目に合ったのだ?」

その質問にギクッと大きく体を揺らし反応してしまうルルーシュ
その反応を隠すように大したことは無いと言ってみるがCCには通じないようだった。

「ふ〜ん・・・それよりお前・・雰囲気変わったなぁ〜・・・今人間の男と一緒にいるんだったな・・・まさか・・・抱かれたか?」

面白そうにいうCCのその言葉に意識しないようにと思っても反射的に顔がボッと音を立てて赤くなる
そのルルーシュを見てふっと笑いをこぼしながら「当りか・・・処女喪失おめでとう」とルルーシュを罵るように言う

「お・・・お前は・・っ!女ならもう少し言葉を選べ!はしたないっ」

顔赤くし毛を逆立てながら怒るルルーシュにCCは気を取り直し話し始める

「まぁ…そんな事はどうでもいいんだ。何故お前に力が無くなったか・・・それを調べる為に私は一度魔宮殿の書庫へ行ってくる・・あそこなら昔の書物がたくさんあるからな。何かわかったらまた呼び出してやる・・・あ、そうだ・・お前が今一緒にいる男の名前はなんだ?そいつと接触してから何かあったのならそいつに原因が有るかもれないからな。」

「あ、あぁ名前は・・『スザク』だ」

そうルルーシュが伝えるとCCの眉がぴくっと動いた気がした

「・・・スザクか・・・・」


「なんだ?スザクがどうかしたのか?」



名前を告げてから言葉を発しなくなって考え事をしているようなCCにルルーシュが痺れを切らして聞く
そんなルルーシュの言葉にフフっと笑ってCCが答える

「いや、なんでもないよ。じゃぁまたなルルーシュ・・・」

楽しそうにルルーシュを見やり軽く手を振ってルルーシュの意識を戻す。

真っ白な空間に残ったCCは楽しそうに微笑みルルーシュの消えた所を見つめていた

「(スザクか・・・懐かしい名だな・・・)」

フフフとまた笑いこれからのルルーシュを想像すると笑えてしょうがなかった。

「すまないな。ルルーシュ・・・私は魔女だからな、全てわかってしまったぞ」

黒い羽をパタパタと楽しそうに揺羽ばたかせ若草色の髪の毛を揺らしながら嬉しそうに笑った。





10/02/09     修正。