pleasure








〜12〜







最近スザクの様子がおかしい・・・学校に行くようになって数日。初日の時の様に襲われる事はなく、家に帰ってもスザクは神社の本堂に篭もることが多くなった

「(別になんかあるわけじゃないけど急に態度変えられるとこっちの対応にも困るじゃないか・・・)」

ルルーシュは少しスザクが距離をとっている事に気がつく。
そしてそれはあのスザクの舞を見た日から・・・あの日の記憶がすっぽりと抜けているのも最近気になってきた・・後はあの日に見た夢・・。日がたつにつれて鮮明になっていくその夢・・昨日見た夢は自分と誰かが会話をしている夢だった・・。

「もう少しで君との契約が果たされるね・・」

男が寂しそうに言うと自分は少し笑って答えていた。

「何をそんな顔をする必要がある・・これはお前の望みで・・この村の人全員の望みだ・・」

俺の言葉に男は頷き・・そして自分の体を強く抱きしめるのだ・・その体温まで知っているような錯覚で今日は目覚めた・・。

「(まったく変な夢だ・・・なんで毎日毎日・・)」

その男の顔も名前も靄のかかったようにはっきりとしない・・でも自分にとってその人物は・・・すごく大切だと思える。

「ルルーシュ君??」

授業の終わった放課後の教室で席に座っている事さえも考え事をしていて忘れていたルルーシュは不意にクラスメートに声を掛けられて驚いて返事をする。

「!!な、なんだっ?」

「あー・・・あの枢木君がコレルルーシュ君に渡してほしいって・・」

その生徒は手に小さく折られていた紙をルルーシュに渡すとさっさとその場を離れた。

「(手紙って・・なんだよ・・直接言えば良いのに・・・)」

少し苛々しながらその紙を開き場所を確認すると「校舎裏に来て」そう短い文だけ書かれていた。

「(何様だあいつ・・・!)」

さっと立ち上がり教室を後にする。

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呼び出された校舎裏につきスザクの姿を探すが…そこには誰も居なかった。
いたずらかと思い教室に帰ろうと引き返そうとすると4,5人の男子生徒に道を遮られる。

「・・そこどいてくれないか?」

スザクの事もあり気が立っていた為に刺々しい言葉が放たれる。…が、そんな事には構う様子がない男子生徒達。
良く見れば知らない者ばかりだ…とはいってもこの学園に来て覚えているのなんてほんの数人で・・しかも同じクラスの席の近い奴だけだったが・・・。

「ランペルージ君は何でそんなにすぐ帰ろうとするかなぁ〜」

「もう少し俺らと遊ぼうよ」

男子生徒たちはじりじりと間合いをつめてくる・・後ろは校舎の壁・・下がるにも限度がある・・壁にぴったりと追い詰められれば身動きが取れないほどに押さえつけられる。

「このっ!!離せっ!!」

全身の力をこめて振り解こうともがくが多人数に今のルルーシュが叶うわけがなく・・・

「君からいつもいい匂いがするんだよね・・」
「そうそう・・そんな香りを出してる君がいけない・・」

男達が虚ろな表情で口々に発する言葉は少しおかしいとも取れる言葉で・・・それはルルーシュの色香にやられているといって良い程だ。無意識にばら撒かれているそれは知らないうちにこいつらの様な輩をひきつけていたらしい・・・。

「(これはヤバイ・・・!)」

囲んでる奴らの表情を見て自分の身の危険を察知する。
鈍い自分でもわかるほど危険な状態に頭はフル回転をし何とか逃げる手立てを考える・・・。

そんな事をしていると少し遠くのほうから足音がして…それはとても早くコチラに近づいてくる。そんな音を頭の片隅の方で聞いていると次の瞬間には男たちに押し倒される。
そして馬乗りになってくる影を確認すると目をきつく閉じて力いっぱい殴りかかろうとしたその時・・・。
一人の男が悲鳴めいた声を上げる・・・。キツク閉じていた目を開くと自分の傍に立っていたのはスザクだった
うずくまる男の手首を掴んでいる様子から相当な力で握っているのだろう・・・。

「こんな所でルルーシュに何か様ですかね・・・?」

冷たい目線で男たちを見る。そうすると口々に別に・・等と言って今までの状態が嘘のようにその男たちが逃げていく。

「はぁ・・・君はまったく・・・」

逃げ帰っている男たちを軽く見てからスザクは大きなため息をつく。

「なんで俺のせいなんだっ!俺は何も悪くないっ」

まず助けられた事に礼を言うべきだとはわかっていたし、自分がやすやすとこんな罠にはまったのもわかっていたが小馬鹿にしたようにあきれたため息を吐かれたらこういってしまうのは仕方がなった。

「うん・・まぁ今回は僕もいけなかった・・君から離れすぎていた・・」

スザクはルルーシュの身体を後ろからふわっと抱きしめて「ごめんね」と謝る・・・。

「なんでお前が謝る・・・?別にお前が悪いわけでは・・」

そう続けようとしたが顔を後ろに向かされ口付けられる・・その久しぶりとも思える感覚に何故か安心してしまう・・・そして本来なら怒って当然のその行為を簡単に受け入れてしまっている自分にも驚いた・・。

「僕が悪いんだ・・だから謝らせて・・?」

「何だそれ・・・」

スザクが優しい眼差しで見つめてくる・・それだけで、もうどうでも良かった…。

こう思った時に自分の感情に気がつく・・。

「(・・俺はこの得たいの知れない男好きなのか??)」
疑問で始まった感情は自分の思考の中でだんだんと確信になっていく・・。
最近まったくちょっかいを掛けてこないのを腹立たしく思ったり・・こうして触れ合うことがなくなった事が・・・何より自分が必要でなくなったという錯覚が・・。どうしてこんなことを思うのか自分で甚だ疑問だった。でも好きになってしまってたならしょうがないじゃないか・・悪魔は欲望に忠実だ・・そう思ってしまおう。

スザクと会話をしながら自分の気持ちに気付いたルルーシュは車の中でこんなことを思っていた。

「(もし・・・このまま力も・・翼も戻らなかったらこのままスザクと一緒にいれるのか??)」

そんな今までとは180度違う考えを持ち始める。どうしてこんな急に・・そう思いながらもスザクを見ると自分の胸がきゅうっと張り詰めるように痛い・・こんな感覚初めてだ・・・。


『それは違う・・』


頭の中で響くような声・・その声に「えっ?」となり車中を見回す・・その様子に気付きスザクが「どうかした?」と聞いてくるが「別に・・」と答えるしかなかった。
きっと今の声は自分にしか聞こえていない・・そう何故だか確信出来たから・・・・。






100216    修正。