pleasure 〜17〜 数時間前までの体の熱が嘘の様に体が冷えたように感じる・・。 ルルーシュはスザクが寝ている布団からそっと抜け出し月のない夜の外に出ていた。 どこか人目につかない所を探しふと目に入ったのは古い土蔵。 その中に入り少し辺りを見回す・・ 『もういいか・・・?』 頭の中で声がする 瞳を閉じその声に集中するようにすると意識だけ内側へと入っていく感覚で白けた世界が見える。その場にいるのはゼロ・・。 「・・・・」 『黙っていては何も出来ない・・・』 「・・いいわけ、ない・・」 俯いたまま消え入りそうな声で話すルルーシュ 『お前が消えれば良い』その後に話された事はこうだった・・・。 +++++++++++++++++ 「俺が消えるって・・どうゆう・・」 「そのままの意味だが・・お前・・ルルーシュという存在が居る限り私は外に出れない、それにお前は私だ・・私に全て返すくらい当たり前だろう?」 「そんな・・・!俺は俺だ!他の誰かなんかじゃないっ」 「・・・でも私は・・朱雀の願いはどうなる・・ようやくこうして身体が転生したのに・・・なぁ私だったら・・お前だったらこの気持ち・・分ってくれるだろう・・?絶対に同じ思いをしてるはずだ・・苦しくて、辛いんだ・・」 「っ・・わかる・・でも・・。少し・・時間を・・スザクといる時間をくれないか・・それから決める・・。」 「・・・分った・・」 ゼロもルルーシュもお互いにとても痛みがあった・・片割れの痛み・・自分自身の痛み・・。 その痛みが分るからこそ自分たちは分かり合えぬと・・・。自分が居る事の意味なんて・・考えた事なんてなかった。今の自分は必要とされていたのか・・スザクは・・・「自分」を見ていてくれたのか・・・? +++++++++++++++++ 『なぁ・・ルルーシュ・・』 ゼロは突然ルルーシュに話しかける。 まるで何か楽しそうに・・でも少し悲しげに・・。 『私は・・お前の一部になっても良い・・』 そんな突然の発言にルルーシュは目を丸くする 「えっ?!」 俯いていた顔を上げゼロを見る。その表情は複雑だった・・。 『なんて顔している・・私は別に消えるわけではない。さっきの事で分った事がある・・・だから私はお前に・・お前は私になれば良い』 「さっきの・・・?」 ルルーシュが少し考えて途端に顔が赤くなる・・きっとゼロが言っているのは先ほどの情事のことだと自覚すると恥ずかしさが襲ってくる・・。 『何を今更照れる事がある・・。それよりもどうなんだ?やっぱりお前が消えてくれるのか?』 折角の提案にルルーシュが無反応なので少し意地悪く言ってみたが・・もう全てが面白い・・いや、愛おしいのか・・・。 スザク・・スザクは「本当の自分になった」といっていたのを聞いた。 確かにスザクからは「朱雀」が感じられた。 でも私の知っている「朱雀」と少し・・違っていた。 だからわかったんだ・・悟ったといってもいいかもしれない。 私とルルーシュも「そう」なればいい・・ ルルーシュは私で「私」はルルーシュだ・・。 きっと・・こうなる「運命」だったんだな・・。 『さぁルルーシュ・・手を・・』 「いいのか・・?ゼロ・・」 『だから私は消えない・・お前になるだけだ』 ゼロはこれまで見た事ないほど綺麗な微笑みを浮かべていた。その笑みに導かれるように手をとり・・そして体に馴染んでいくようにゼロが入ってくる感じを憶えると頭の中なのかゼロが『ありがとう』といったのが聞こえた・・俺は何かゼロのためにしたんだろうか・・・? そんなことを考えていると元々いた土蔵に戻ってくる。 「・・・戻った・・・」 戻ったという表現はおかしいのかもしれない・・ルルーシュはずっとそこにいて意識の中でゼロと会話していただけだから。 「何も変わった感じがしない・・でも・・」 少し違う所がある・・感情というか記憶が違う・・・。 違うというより増えたというのが正しいかもしれない・・ゼロの記憶が・・感情が・・自分の中にある。 ただそれは違和感など感じなくて・・それを実感したときに判った事がある。 「(あぁ・・これが本当の俺だ・・)」 ゼロは自分で・・自分はゼロ・・これで完全な自分・・今までが半分だっただけだ・・。 「スザクの言った意味・・わかったかもしれない・・」 自分の手のひらを見つめながら土蔵から出ようとしたときにひとつの巻物が落ちてきた。 「?」 それを手に取り広げると・・・ 【これは契約。 枢木の血でされた悪魔の契約は続く… これは罰・・・これは罪・・・ 神剣に封じた力はいずれ解放される。 枢木の元に悪魔が現れたときが契約の遂行の時。 その悪魔は枢木の物・・ 悪魔を封じ、神剣は輝いた。 その輝きは遷る(うつる)ことなく輝き続ける この思いもまた霞むことなく続く… 呪いは願いになり永久(トコシエ)に… 罰も罪も君の為に・・・。】 ここまで読んで思った・・これは「朱雀」自身が書いたものだと判った・・。 きっと自分<ゼロ>が消えた後に残した物だろう・・。本人はそのつもりは無くとも・・これは<ゼロ>に向けた言葉・・。自分とまた会える事を願った文ではないかと・・・。 今更だが「朱雀」はそのままの姿で<ゼロ>と合える保障は無かったんだ・・。 魂が転生するのもわからない自分<ゼロ>を…そう思ったらなんと深い愛だったか…わかっていても嬉しかった。 単純に朱雀の思いが…。 今スザクとめぐり合ったのも偶然だった。 でもその偶然は必然で・・この思いもまた・・・。 そう思うよりも早く瞳から涙がこぼれている事に戸惑う。 巻物の先が読まずともわかる気がしたので・・そしてこれ以上「朱雀」の思いをわかるまでもない・・これから先スザクと<朱雀>・・・に会いに・・共に居ればいいのだから・・。 ルルーシュは少し流れた涙をぬぐい土蔵を後にする。 晴れ渡った表情で・・・ 100218 修正。手紙の部分大幅改良;;4話でスザクが見つけた巻物の続き風にしました。スザクはその巻物の言葉がわからず上の部分までしか解読できなかったって奴です。 |