秒読み









〜秒読み   8   〜









「ルルーシュお待たせ・・・・」

部屋の扉が開きスザクが水が入ったコップを持ってきた

「あ・・・すまない・・・」

ベットに預けていた重たい身体を起こしコップを受け取る

「顔色・・・治らないね・・・もう少し寝てる?」

スザクが心配そうに頬に触れてくる・・・その感覚にルルーシュの背中がゾワッと総毛立つ感覚がした。
その触られる感覚が・・・いつもと違うから・・・その触り方が・・・いや・・きっと気のせい・・・そう思うようにした。

「ぁ・・・あぁそうしたい・・・」

スザクの手の感覚から逃げるように言葉を詰まらせながら答える

「・・・その前に少し話ししたいんだけど・・・大丈夫?」

スザクの表情が暗い気がした。
ルルーシュはこのとき思った・・先ほどは状況に思考がついていかなかったが少し時間がたちスザクが気付いたのではないかと・・
そう思えば今から話されることは・・・拒絶の言葉・・・。

そう、ルルーシュが思い少し口に笑みがこぼれる・・・

「ああ・・話くらい平気だ」

にっこりと笑い具合を心配されないようにする・・・とは言っても具合なんて元から悪くはないのだが・・・それにこの笑いも今から聞ける言葉に思いを馳せてるから出る笑みだ・・・。

「(やっと・・やっと終われる・・・)」

そう思いながらスザクの口が開かれるのを待つ

「ルルーシュ・・・僕は・・・!」

スザクが真剣な表情をして両手でルルーシュの肩を掴んでくる・・その様子にルルーシュが困惑する

「(な・・・なんだ・・?よ、予想していたのと違う・・・)」

眉を寄せその状況が飲み込めないルルーシュ・・・スザクの真剣な顔を見ながら言葉を待った・・・
でも・・・その開かれた口から出た言葉は予想もしていなかった言葉・・・

     『・・・君が好きだ!!』    

スザクの言葉が耳に響く・・・でもそれをわかることなんて出来なかった・・耳鳴りがしているようにノイズが入る・・・ただ見えるのはスザクの翡翠色の瞳が熱を持って自分を見ていること・・・いつも見ている様な男の欲情している熱の瞳ではなく・・・まるで・・・その瞳で愛しているといわれているような・・・・。

         違う・・・!!そんな・・そんな感情いらない・・・!!

頭の中でサイレンが鳴っているかのように頭痛がする・・・自分の中で色々な物が崩れていく・・・

「な・・・何言って・・・」

そうやっと言葉が出たルルーシュ・・・その表情は困惑しているような怯えているような・・・そんな表情で頭を押さえて震えている・・・そんな様子のルルーシュを見てスザクが不安になる

「ル、ルルーシュ・・?どうし・・・」
「帰ってくれ!!」

スザクがルルーシュに触ろうと手を伸ばして言った言葉の途中でルルーシュが大きな声を出す

「・・・!!」

伸ばした手を払われ目を見開くスザク


「あ・・・っ・・すまない・・・やっぱり具合…良くないんだ・・今日は帰ってくれ・・・」

告白された事を流しルルーシュがスザクを部屋から出るように促す。
そうされるとスザクは言う言葉も見つからずにゆっくりと何も言えず部屋の外に出るしかなかった・・・

シュッと扉が閉まるとルルーシュはうずくまり痛む頭を押さえる

「(・・・・なんなんだ・・・スザクが・・・好き??俺を・・・?そんな事あるわけない・・!!信じられるか・・何を今更・・・なんで・・・・)」

疑問ばかり浮かび瞳にはその痛みでなのか涙が溢れる・・・その痛みは頭の痛みか・・・それとも       心の    ?

――――――――――――――――

「(ルルーシュ・・・)」

閉じられた扉を手で押さえ扉の向こうのルルーシュの存在を確かめるように見つめる

「(・・やっぱり言うべきじゃなかった・・・いくら僕に対して好意を向けてくれててもやっぱりルルーシュのその好意は僕とは違ったんだ・・・でも・・・なんで・・・)」


スザクの頭には先ほど見た乱雑に置かれた制服・・・そして耳に残っている上級生の二人の言葉・・・
決して繋がっているとは断定できないがどうしてもつなげてしまう・・・ルルーシュがあの人たちと・・・

そんな可能性ばかり考えていた・・・自分の中でぐるぐると回る考え・・・

「(僕は何をしているんだ・・・・!!)」

血が滲むほど握り締めていた拳・・・その手を見てその場を離れる・・・

「(ルルーシュ・・待ってて・・・君が安心して暮らせる世界を僕が必ず・・・)」

そう決心を固めるスザクの思いはルルーシュに届く事はなく・・・またルルーシュの思いもスザクには届いてない・・・カウントされる秒針のようににどんどんと離れていく二人の距離・・・その距離は今一番遠いところにいる・・。








100216   修正。