秒読み










〜秒読み   9  〜









頭の痛みが引いてくると次に体の不快感を思い出す。

先ほどかいた汗が体に纏わっているような気がして・・・きもちが悪い・・・。
とはいってもいくら体を洗い流しても少しも綺麗になる気がしないのだが・・・

そんな事を思いながらシャワーを浴び始めるルルーシュ


「(・・・俺・・・何してるんだろう・・・)」

スザクが告白してきた事で今までの自分が思い出された・・・

好きだと伝えられて嬉しい・・・?いや・・・でも今までの自分があまりにも汚すぎる・・・こんな自分が居て言い訳が無い・・!
それにスザクはユフィの・・・
なんで・・・
ユフィ・・・なんで俺からスザクを取るんだよ・・・
いや、違う・・・元から俺のところにスザクはいない・・・そんな事思う方がおかしい・・・。

シャワーから出る水が体にあたり排水溝に飲まれていくのを見てルルーシュの体から力が抜けてうずくまる。

喜んでる自分と卑下している自分・・・どっちもルルーシュであってルルーシュでない・・・そんな自分の中に生まれる矛盾との戦いに疲れてルルーシュの心はまた閉じていく・・・。

「もう耐えられない・・・・」

浴室に小さく響くルルーシュの声・・・・
その声は誰に聞こえるでもなくシャワーの音にかき消される。

――――――――――――――――――――――――

スザクがルルーシュに告白してから数日後・・・政庁にはユフィの公務に付き沿っているスザクがいた
その心の中には未だにもやもやとしているモノがあり・・・それは日数を重ねるごとに増えている。

自分のした事・・・ルルーシュの事・・・「あの日」の事・・・・考えているだけなのにざわざわと心が荒れる


「・・・ク?・・・・スザク??」

何度目かのユフィの問いかけにスザクが気付き慌てて答える

「はっ・・はいっ」

「どうかしましたか?何か考え事ですか?」

にこやかな微笑みを浮かべる花のような皇女にスザクは心を落ち着ける。

「いえ・・・すみません・・・」

スザクが微笑みながら言うがその表情は笑みに反して何か心細い顔をしていた

「そう・・ですか?・・・あっ!そうです!スザク!!」

スザクのその表情は気になったがユフィはスザク自身から話してくれるまで無理に聞くつもりは無かった。元からあまり自分の事を話さないスザク・・・寂しい気も有るが今こうして同じ目的のために傍にいる彼を信頼もしているし彼自身を尊敬している・・・・恋愛感情ではなくてお互いに傍にいて色々な事を分かち合い協力できる人・・・。

そしてそんなスザクにも喜んでもらえると思うことを思い出し一気に声が華やぐ。
そんなユフィに少し戸惑いながら「はい?」と答えるスザクに顔をほころばせながら話をはじめる

「この前の会議で特区の計画をお話しました!!これで日本人の皆さんも・・・ルルーシュ達も安心して暮らせるようになりますっ!」

スザクがルルーシュという言葉に少しビクッとなったがユフィの言葉にとても喜んだ

少し前・・・ルルーシュと偶然再会したユフィはエリア11を「特区日本」としてブリタニアの政治的干渉を極力抑え、日本独自の文化を復旧させようということを思いついたのだ。
それにより日本に暮らす人々を守る場を作るということでルルーシュ達にも安心して暮らせる環境を・・・と思っているのである。

スザクはこの話を騎士着任時の最重要項目として話されていた。
「行政特区日本」の協力を前提に騎士になってくれるかと・・・
そしてユフィの騎士になる事を決めた・・・日本を・・・ルルーシュ達を守れる・・その手助けが出来る。
そう思いユフィの手を取った・・・ルルーシュ・・・君の為にと・・・・。

「(これできっと・・・君を本当に救える・・・)」


スザクの思いはルルーシュの為    ルルーシュの思いはスザクに    

      

こんな2人が何故お互いに苦しませ合う事になったのか・・・・。


最後の足場が崩れ落ちるのももう秒読み・・・・







100216   修正。