秘密・・・







出会った二人





(嘘だ、嘘だ、嘘だ…!!)

スザクが自分の部屋から客間に向かうまで歩く間心の中でこの言葉だけが頭にあった。
先日話された婚約の話を無いものとし数日過ごしていたスザクだが、今日ブリタニアからその婚約者が来たと早朝に枢木家のお手伝いさんに聞かされた。
スザクは自分が何も言っていないのに本当に婚約の話が進んでいる事に驚きを隠せなかった。
それは普段は2度寝や3度寝など当たり前のスザクがすぐ目が覚める程で、そしてすぐに言われたとおりの和服の正装をし部屋を飛び出したのだ。

客間に着いたスザクは気持ちの整理が付かず扉の前で固まってしまった。
そうしていると不意に後ろから声がかかる。

「入られないんですか?」

振り向くとそこにはブリタニアの兵士と見た事もない程綺麗な少女が居た・・・
黒髪に合った赤い花の髪飾りに、深い紫色の瞳その容姿に合わせたかの様な黒地に紫色の美しい蝶々が舞っている着物。
ブリタニア人特有の透き通るような白さとその着物姿にしばらくスザクの目は奪われてしまった。

「あ!あなたがスザクですね!私ルルーシュって言います。これからよろしくね」

スザクが何も言わないのを不信にも思わず手をぱんッと叩きながらにこやかに自己紹介をしてきた。

「え??何で名前・・・?」

その笑顔に少しどきどきとしながら何とか声を出して会話を始めるスザクは頭の中はハテナマークがいっぱいだった。
そうして戸惑っていると客間の扉が不意に開き、そこにはゲンブが居た。

「お前はこんなところで何してる早く入りなさい・・・・あ、これは皇女殿下・・殿下もこちらへどうぞ」

ゲンブが扉を開けルルーシュを部屋の中に招き入れる。

「皇女殿下って・・まさか・・・」

「そうだ。こちらがお前の婚約者のルルーシュ様だよ」

部屋に入りまだ戸惑っている頭に追い討ちを掛けられスザクの頭の中はもう真っ白だった。

「ルルーシュ様だなんて・・・これから家族になるんです。そんな言い方はやめて下さいお義理父様」

ゲンブのかしこまった態度にルルーシュはやんわりと笑顔で反論する。

「これはさすが!!出来すぎる子を嫁に頂いたみたいだ。良かったなスザク」

和やかに見える室内でスザクだけが取り残された…そんな空間で婚約の話は進みブリタニアからルルーシュと一緒に来た兵士はゲンブと2人で話すといってルルーシュとスザクを残し部屋を出て行ってしまった。

そんな状態になってしまって益々気まずくなったスザクにルルーシュが話しかけてきた。

「スザク、君には悪いが協力してもらう。拒否権はない。」

さっきとはまったく違うトーンと冷めたような表情でルルーシュがいう。今までも出す言葉が見つからなかったが状況の急変になおの事頭がついていかない・・・このルルーシュという子が言っている意味がまったく理解できなかった。

「君はいったい何を・・・?」

スザクが混乱した頭でやっとの事出した言葉の返事を聞く前にゲンブ達が戻ってきてしまった。

「では、少し外に出よう。」

ゲンブがルルーシュに色々な場所を見せようと計画していたと言いながら外に誘った

「はい!ぜひ行きたいです。」

そう答えたルルーシュはさっき見せた顔の断片も見せずその顔に穏やかで美しいまでの微笑みを見せていた。

スザクはさっきのはなんだったんだろう・・・など考えてみるが観光地を一緒に巡るルルーシュは初めて会った時と変わらない可愛い笑顔を向けてくる。
そうしてるとあの客間で見たのは幻覚だったんじゃないかとまで思ってしまっていた。









10/02/03 修正。