秘密・・・




暗闇の中の光







ルルーシュ達が帰ってからのスザクは考え方を変えた。このままちゃんと婚約の話を進める為に父と話をした。
そんな風に変わったスザクを見てゲンブはとても喜んでいた。



中学を卒業してからはだんだんとその話も現実味を帯びてきた。
日本とブリタニアは外交面でうまく言っているというニュースはすべてスザクたちの婚約があっての事、世間には婚約の話は明るみにはされていない、知っているのは日本の上の方の偉い人達だけだった。
そのニュースを見るたびにルルーシュを思い出す。そうすると自分の中で黒いものが沸々と沸いて出るような感覚に襲われるスザク。
その感覚を忘れる為に彼女も作ってみた。でもその子を好きになれない・・・。知らずにルルーシュの面影を重ねている自分がいてそれにも苛立った。

スザクははっきり言ってモテていた。言い寄ってくる子達には優しく接して・・そして手もだした。複数の女子と付き合うにあたりいざこざが出ないように少し自分の性格も変えた。人当たり良く、丸い性格に、一人称も「僕」に。
そうすると面白いぐらい皆騙された・・・。
内面なんて誰も見てない…外見だけよくしてれば人間は騙されるんだ…僕がそうだった様に…。

「おい、スザクまた彼女振ったんだって?」

「彼女じゃないよ。付き合ってるつもり無かったし」

友達がじゃれるように聞いてくる。興味本位だってわかるが別に気にならない。

「うわっお前いつか刺されるよ!」

「そんなヘマしないよ」

いつもそうだ最初は一緒に居て楽しいと思うこともある…でも満たされない・・・。

「そういえば来週からブリタニア行くんだろ?」

スザクは来月で18・・・約束の年齢だった
もう少しで結婚させられる・・・ルルーシュと。

ルルーシュの事を思い出すと一瞬は光が瞬いたような笑顔を思い出す…でもすぐに暗く闇に染まる感覚になる。自分はまだルルーシュに恋心があるのだろうか…自分を利用しようとしてるだけなのに…たった一回あっただけ。それだけなのに・・・。

「そうだよ。3ヶ月は戻れないらしい・・(帰ってきてももう学校にはこれなくなると思うけどね・・)」

友達はたまには連絡くれよーと軽く話をしている。
誰も自分には興味はない…枢木の子…日本の首相の息子…学校では優等生の枢木スザク…本当の「自分」を見てくれてる人は…いないんだろうな。

+++++++++++++++

それから一週間後ブリタニアに行く為に一人空港に向かうスザク。
本当だったら父と2人で行くはずだったが公務で少し遅れるという話になった。結婚式には間に合うように行くといっていた。
ブリタニア行きの飛行機の搭乗を済ませファーストクラスのシートに身を落とすとこれから会う婚約者のことを考えていた。
(「事情がある」・・・「今度ちゃんと話す」・・・「ありがとう」)
本当に困っていそうだった・・・でもそんな事今更か・・・自分の計画を果たそうと今飛行機に乗ったんだ。
もう後戻りはしない。
自分の中の黒い感情を抑えながら窓に映る自分の顔を見つめる…
5年前の自分とは随分変わった気がする…ルルーシュは・・・ルルーシュも変わってしまっているのだろうか…自分と同じように…。

近くなった空を眺めながら垣間見える雲の様に時々明るい気持ちになるのは気のせいだ…と自分を偽る。







10/02/03  修正。