秘密・・・



偽り






すっかり思考が停止してしまっているスザクにルルーシュは意を決して話し始める。

「すまない。混乱するのは良くわかる・・だがこれには事情があるんだ・・・。」

話し始めるルルーシュは苛立ちにも似た表情で語り始める。

ルルーシュは母マリアンヌと皇帝シャルルの間に生まれた皇子だった。

だがその時に皇族の中で激しいいがみ合いが起きていた。
そんな中できた新しい皇子…それも皇帝に最も愛されている皇妃の子供。きっとこの揉め事に多く巻き込まれるだろう…

そう思った二人はルルーシュを皇女と公表する事にした。
その時のブリタニアでは皇女は皇位継承兼は与えられるが皇子ほど高くは無かった。
少しでもこんな醜い争いに巻きこまいための策だったとルルーシュが初めて聞いたときは4つの時だった。それからはこんな事になった自分の身がひどく憎らしかったがそれも期限付きのものとされていた。それがこの婚約の話だ。とルルーシュが話す間スザクはずっと考え込むように聞いた。

「これで私があんな格好をしていた理由はわかってくれたか?」

「それはわかったけど・・なんで婚約?」

「それは・・・」

ルルーシュが言葉を続けようとした時に廊下から物音が聞こえた。
慌てて脱いだドレスを着込むルルーシュをスザクもそれとなく手伝った。
そうしていると客間の扉が叩かれた。

「ルルーシュ様、スザク様。マリアンヌ様がお呼びです」

城のメイドが頭を下げながら用を伝えるとルルーシュはわかりましたと皇女の容姿で答える
そんな可憐さまで漂わせているルルーシュを見てスザクは胸の奥がちりちりと焼けるような気持ちになっていた。
男とわかってもこの気持ちは…それよりも先ほどから襲ってくるドス黒い感情…皇女としてみていた時とわ違う感情…脅かそうとは思っていた…それはあくまで精神的な事で…でも男とわかってからこの感情は・・・?
スザクが自分の中の感情に戸惑いながらメイドに案内されるがままにルルーシュと共にルルーシュの母・マリアンヌの所へ向かう。

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宮殿から少し離れたところにある離宮に着きメイドを下げ、マリアンヌの姿を見つける。


「母上お呼びですか?」

「ルルーシュっちゃんと来てくれて嬉しいわ!あなたここ最近どこに逃げるのかわからないけどいつもつかまらないんですもの・・・あっあなたね・・・!!」

マリアンヌが子供の様に拗ねた顔をしながらルルーシュに文句を言っていたがスザクの姿に気づき言葉をとめた。

「ご挨拶が遅れました。初めまして、日本より参りました枢木スザクです。」

深くお辞儀をするスザクにそんなにかしこまらなくていいわ、とつけてマリアンヌも挨拶をする。

「ところで母上・・・なぜここに呼び出したんですか?」

「あっ!そうそうちょっと・・・ね。」

と話しにくそうな雰囲気のマリアンヌにルルーシュはとても嫌な予感がした・・・。

「何ですか・・また良からぬことでも考え付いたんですか?」

「そんな!私がいつ良くない事なんて考え付いたのよ!!」

「この状態が良い事なんですかっ!他人まで巻き込んで・・・」

と申し訳なさそうにルルーシュがスザクを見る。

その顔を見てスザクはどうして?となる・・・それはルルーシュがスザクに罪悪感があることに驚いたのだ。五年前はあれ程横柄な態度で協力しろと強要してきたのに・・・。

「そうね・・・でも仕方なかった事よ・・。そのこともあって話しをしようと思いあなたを呼んだのよ。」

「あの!!話の途中で申し訳ないんですが、自分は何も説明されてないんです・・・すみませんがご説明してもらってもよろしいですか?」

スザクが自分の事なのに何もわからない話をされていることにたまらず声を出した。

「そうだったな、さっきの話の続きをしよう・・・婚約はフェイクなんだ。一様は形だけという話だったんだ・・。ほかの国から話が出る前に冷戦状態でいつ戦争にもなるかもしれない日本と早く手を打ってしまいたかったらしい・・」

ルルーシュが申し訳なさそうに言っているのを見て少し考えを巡らせていると疑問に思ったことがあった。

「あれ・・・それって父さんも知ってるのかな?」

「私が男だという事は知らないがこの話がフェイクというのは知っているはずだ」

その言葉を聞きスザクはあきれた・・もう怒りさえ通り越したのだ。なぜ俺には話さずずっと婚約として来たのか…それ程までに国が大事なのか・・。

「私もお話の最中なんだけど割り込んでもいいかしら?」

とマリアンヌがニコニコと話しに入ってきた。

「悪いんだけど枢木首相はこの話をフェイクだと思ってはいないわ。」

にこやかに話すマリアンヌの言葉を聞きルルーシュとスザクは固まった。







10/02/03   修正。