恋人缶







〜恋人缶2〜






「なぁ・・!拭くもの借りていいか?」

風呂場から聞きなれない声でそういわれると一瞬惚けていた自分を取り戻す。

「ちょ、ちょっと待ってて」

慌てて返事をして一様ルルーシュの説明がされている缶や本DVDを押入れに突っ込みタオルを持って風呂場に向かう

「えと、・・・ごめんタオル」

風呂場のドアをコンコンと叩きながら声を掛けると少し風呂場のドアが開き濡れた黒髪と真っ白な肌の手・・・綺麗なアメジストの瞳が見えた

「ありがとう」


そう言って華奢とも言える細い手でタオルを取っていく

「どういたしまして・・・・」

スザクはそう言ってからくるっと向き直りしゃがみ込んだ

「(え・・・本当に男かっ?!つか何でこんなにドキドキとしてるんだ僕はっ!)」

ドアの隙間から見えたルルーシュはとても男には見えなかった。肌の白さもそうだが出てきた綺麗な手・・・自分とはまったく違うその手に心拍数は跳ね上がった


「おい・・・そんなとこでなにやってるんだ・・・出れないじゃないか」

「ふぎゃ!!」

後ろから不意に声をかけられ変な声を上げてしまう

「なんだその声・・・大丈夫か?お前。」

「あ・・・・・」

スザクが振り返ってルルーシュと目を合わせる・・・ドアの隙間から見た時も綺麗だと思ったが実際直視してみると思っている以上に綺麗過ぎて・・・・時間が止まったような感覚になってしまった。

「スザク??」

固まってしまったスザクに声を掛けるルルーシュその声に我に返るとルルーシュの格好に気付く。
風呂上りで当たり前だが腰にタオルを巻いただけで肌の半分以上が露わになっている。余分な肉なんて一切無く薄いその肌は風呂上りの熱で少し赤みが入っていて・・・しかも細すぎるくらいに細い腰・・・。
同じ男の物だったが自分とは違うその体のつくりに見てはいけないものを見たような気がして顔が一気に紅潮する。

「わ・・!!ご、ごめん!!服置いておくからっ」

スザクはそう言ってザッとその場から駆け出した
台所に行き冷蔵庫の一番下にある冷凍部分を開けてそこに頭を近づけ冷気が当るようにして頭を冷やした

「(僕は男っ。ルルーシュも男っ!今の反応は思いっきりまずい・・・!!頭冷やせっ僕!!)」

自分に暗示を掛けるように頭の中で繰り返すスザク。そんな事をしていると人の気配が近づくのがわかり慌てて冷凍庫を閉める。

「ありがとうスザク。助かった、着替えまで借りてすまなかったな・・・」

申し訳なさそうに言うルルーシュに「き、気にしないで」と言葉に詰まりながら答えるとルルーシュの表情が悲しそうな表情に変わりスザクを見る。その表情に「えっ?」っとなるスザク。

「スザク・・・俺が言った事気にしてるのか・・・だからお前さっきから変なんだろう・・・お、俺は別に無理にとかそんなこと思っていないから!別にはっきり断っていいんだぞっ」

視線を体ごと逸らしスザクのほうを見ないようにするルルーシュ。

「(あ、そういえば僕は告白された事に成ってたのか・・・断っていいって言ってもなぁ・・・)」

明らかに傷ついているような表情の横顔がとても可愛くて・・・可愛くて・・・
僕はこの時思ったんだ・・・なんか好きだなって・・見た目はもちろん気に入ってるけどそれよりも何か惹かれる・・・無条件にこの人が好きだと思ってしまったんだ。

スザクのほうを見ようとしないルルーシュを横から抱きしめるスザク

「こんなに可愛い人からの告白断るわけ無いでしょ」

「なっ・・・!は、はなせっ・・近いっ」

抱きついた途端冷たい言い方をするルルーシュ。この反応をみてスザクは思う。

(なるほどこれがツンデレか・・・結構好きかも・・・)

新たな扉を開きかけているスザクがそこにいた。
・・・・とふと目線を移すと首筋にバーコードのようなものと日付が目に入る

「(なんだこれ・・・・あ・・・)」
思い出したのは缶の説明書き部分・・・「使用期限」・・・それを思い出しやっぱりルルーシュは人間じゃないのかと思ってしまう・・・その期限日はあと2週間。その期間は僕の恋人・・・。

彼女が帰ってくるのが3週間後・・・ちょうどいいじゃないかと思う反面2週間しかルルーシュといられない・・・そんな切ない気持ちになってしまって抱きしめている腕の力を腕の力を強める。

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「ご馳走様でした!とってもおいしかったよ。ルルーシュ!」

パンッと手を合わせて言うスザク。
先ほどルルーシュを抱きしめている最中に盛大にスザクの腹が鳴った為に冷蔵庫にある有りあわせでルルーシュが夕飯を作ってくれた。
ルルーシュが作る料理はとても残り物で出来たとわ思えないものばかりで彼女が作った物でもこれ以上のものは今まで無かった。

「それはどうも・・・。」

少し冷めたような声で言うルルーシュ・・・そういえば食事中・・・いや、準備をしてるあたりからあまり機嫌がよくない。

「ルルーシュ何か怒ってる??」

スザクが聞くとルルーシュは体をビクっとさせえて目を逸らしてしまう

「べ、別に怒ってなんかいない・・・ただ・・・」

「ただ・・?」

「・・・お前やっぱり俺とは付き合う気無いだろ・・・」

「へ?」

あまりに突拍子の無い言葉が出てきたので間の抜けた声が出てしまった

「どうしてそう思うの?」

「・・・お前今付き合ってる人いるんだろう」

その言葉を聞き思い出す・・・部屋の状況。
彼女のものがそこらじゅうにある・・・服もだし、部屋に飾ってある写真・・・冷蔵庫にも彼女が使うマニュキアが固まらないようにする為に入っていたはず・・・・。それを見てルルーシュはどう思ったんだろう・・・。
傷つけた・・・・そうはっきりわかる。

「からかうとかそうゆう事お前優しいからしないと思うけど・・・・そういう優しさ、いらないから・・・」

ルルーシュが俯きがちに言うとスザクの胸が締め付けられる・・・

「そんなつもり付き合うなんていってないっ!本当に君が好きだから・・・か、彼女は別れたばかりで・・・物とかそのままなのはごめん・・・」

「・・そ、なのか・・・」

少し微笑むような顔にまた胸が痛む・・・嘘で固める自分・・・。でも2週間だけ・・・僕にこの綺麗な恋人といる時間を下さい・・・。




100218    修正。  スザクは女の敵か何かだと思う・・。