恋人缶 〜最終話〜 スザクは優しい・・。 男の自分が受け入れられるとは思っても見なかった・・思い合えても「普通」の恋人みたいな事は出来ないと思っていたのに・・それが今では当たり前の様に体まで・・・ 洗濯物をたたみながらそんな事を考えていたルルーシュは自分の頬に熱が篭るのを感じる。 初めて体をつなげてから数日・・・はじめの様に抱きつぶされるような事はなくなったが数回と求められる毎日は体力のない自分には少しきつい・・でも求められる事は決して・・嫌じゃない。 欲していた相手に自分も求められるのは誰だって嫌じゃないはずだ・・が。 最近のスザクは少し・・おかしいと思う。 普段の生活もそうだが最中にも泣きそうな顔を見せる事がある・・。その意味はわからないがその後にいつも「ルルーシュ・・愛してる・・」 と、消え入るほどに小さく愛おしそうに囁かれる。その言葉を聞くと自分も満たされる様な・・でもとても切ない気持ちになる・・そんな切ない気持ちをかき消すように激しくされる行為。スザクはなにを悲しんでいるのか・・自分は・・いったい何を・・? 「あ、ルルーシュ・・ココに居たんだ」 ぐるぐると巡っていた思考はスザクの声に遮断された。 「スザク・・!ちゃんといくきになったか?」 ここに来てからはじめてスザクがスーツを着て出かける支度をしていた。 「うん・・・ルルーシュに言われたとおり面接行ってくるよ」 「あぁそれがいい。俺はどこにも行かないからしっかり面接うけに言って来い」 「・・・・うん」 たかが数時間面接に行くだけで何故そんな寂しそうな顔をするのか・・・。 この面接に行かせるのも大変だった。 離れたくない、一緒にいたいというスザクをなんとか言いくるめていかせる事にした。 「気をつけていって来い」 「いってきます・・すぐ、戻るね」 玄関でスザクを見送りたたんでいた洗濯物をしまおうと部屋にもどる。 「(本当にへこんでいたな・・今日はあいつの好きなもの作って機嫌直させるか・・・)」 残っている物を全てたたみ終えると夏物の服がまだ残っている事に気付きしまおうと押入れを空ける。 「ん・・?何だコレ・・」 ルルーシの目に入ったものは・・・・ +++++++++++++ 面接を終えて急ぎ足でアパートにもどるスザク 面接の最中もルルーシュが気になってしまい上の空に成ってしまったけど何とかいい感触で終われた…と思う。 「(早く帰ってルルーシュに会いたい・・)」 足早に帰って家のチャイムを鳴らす・・・ ピンポーン・・・ 「(アレ・・?返事がない・・?)」 何度か鳴らしても中から人の気配がなかなか感じられない。 持っていた鍵でドアを開け中へ入る 「ただいまぁ・・ルルーシュ??」 部屋の電気はどこもついていなくどこにもルルーシュは見当たらない。 リビングにかばんを置くとルルーシュによって綺麗にされていたはずの部屋に散乱したものが目に入る・・ 「!?」 散乱したものの正体がわかった・・それはルルーシュの「説明書」 コレが出ているという事は・・・!! スザクは部屋を飛び出し、走り出した。 ルルーシュが自分の正体に気付きてしまった・・!ルルーシュが消えてしまう・・その前に早く見つけなければ・・会って・・会ってどうするんだ・・?でも・・会いたい・・!! 靴も履かずに飛び出したスザクは走りながらまとまらない考えをしながらルルーシュを探した・・ 開けた通りに出ると綺麗な黒髪が目に入る。 「ルルーシュ!!」 目に入ってすぐにその人物に近づき手を掴む・・ 「ス、ザク・・・」 振り向いたルルーシュは泣いていた・・。そして自分に気付くと手を振り払おうと暴れ始める 「離せっスザク!!もう・・もう何も信じられないっ!こんな思いもっこの体もっ!全部全部偽者だっ!!!」 「っ・・ルルーシュっ!!」 振り払われないように掴んだ腕も体ごと抱きとめる。 「離せっ・・離して・・・うぅ・・」 涙声になっていくルルーシュを強く抱きしめた・・何も言えない自分が情けない・・出かけるんじゃなかった・・ルルーシュを一人にしなければこんな事には・・ルルーシュを作らなければ・・・唇をかみ締めて泣いているルルーシュを強く抱きしめる事しか出来なかった。 「スザク・・・」 自分の名前を呼ぶルルーシュ・・体温も触った感覚もあるのに人間じゃないルルーシュ・・消えてしまうルルーシュ・・・消えないで・・消えないで・・。 頭の中に響く思い・・気付かないうちに涙が流れる。 それに気付いたルルーシュは力いっぱいスザクを押しのける・・ドンっと突き飛ばされたスザク 「スザク・・俺は・・俺は人間じゃない・・でもお前を好きになったこの気持ちまで嘘だったなんて思いたくない・・好きだ・・スザク・・!大好きだった・・」 アメジストの瞳から透明な涙が溢れるように出てくる。眉間に皺を寄せて悲痛な表情まで綺麗なルルーシュ・・。 「ルルーシュ・・ごめん・・本当に・・ごめん・・!」 謝るのもおかしいと判っている・・判っているけどそんな言葉しか出てこない・・。 「す・・ざ・・く・・うぅぅ」 口を押さえて泣き声を潜めるルルーシュその表情から目を少し離してしまった・・その瞬間に・・・ ルルーシュは横断歩道を駆け出した・・歩道の信号が点滅をして赤に変わる。 スザクが気付いたときにはルルーシュは反対の歩道に居た。車道の信号が青に変わりまばらな車の通りに渡りたくてもわたれない。 「ルルーシュ!」 声がかれるほどに叫んだ・・。 「スザク・・ありがとう・・お前を好きになれて幸せだった・・嘘しかない自分を・・好きになってくれてありがとう」 ルルーシュから発せられる声・・通りには人通りはない物の車の音はしているはずなのにそのルルーシュの声だけがやけに鮮明に聞こえた。 笑顔のルルーシュ・・綺麗に笑うルルーシュを見て自分から流れている涙が止まる。 車道の信号はまだ青・・大きなトラックがルルーシュを隠す・・少しでもルルーシュを見失いたくないのに完全にその姿をトラックが隠すと次の瞬間見えるはずだったルルーシュの姿がソコにはなかった・・・。 車道の信号が青から黄色…赤に変わる。そして歩道の信号が青に変わり…動かない足を引きずるようにルルーシュの立っていた場所にスザクは向かった。 そこには少し前にルルーシュと買い物にいった時に雑貨屋で見つけたストラップが落ちていた・・。 2人で始めて買い物に出かけて・・彼と同じ瞳の色の石がついた携帯ストラップをルルーシュが買い僕にくれて・・自分の瞳の色と同じ色の石がついたストラップをルルーシュにあげた。 そんな普通のカップルの様におそろいの物を買い身に着けることが嬉しくて自分はその時何時間もそのストラップを見ていた・・。 純粋な気持ちで彼が好きだったと自覚したのは彼が消えた後・・・。あまりにも遅い自覚。 後悔・・・。 心にあいた穴はふさがりそうにない・・。 こんな思いをするなんてあの缶を開けるときは思っても居なかった・・ただ現実にはありえないその出来事に対する興味と好奇心・・そんな軽い気持ちの衝動が自分の身を焦がしている・・。 いわれもない虚無感に襲われながら落ちているストラップを拾い上げる。 力の入らない体を引きずる様に自宅にもどる・・そこは元は、彼女の家で・・自分がここに住み着いてて、彼女との居場所のはずなのに・・一週間と少しだけしか一緒にいなかったルルーシュとの思い出ばかりで埋め尽くされているようだった…。 思い出すのはルルーシュの事ばかり・・その最後に見たルルーシュの綺麗な笑顔ばかり・・。 ピンポーン・・ 家のチャイムがなる・・はっと気付くと玄関に駆け寄ってドアを開けていた。 「うわ・・!びっくりした・・ただいまスザク」 そこに立っていたのは出張から帰ってきた彼女・・ 「あ・・」 「どうしたの変な顔して・・あ、出張切り上げて速く帰ってきちゃった。びっくりした?」 「あ・・うん・・びっくりした・・」 大きな荷物を運び部屋に入る彼女・・自分は何を期待して部屋のドアを開けたんだ・・彼女も帰ってきたんだ・・早く夢から覚めないと・・・。 「おなか減ったね・・何か作るからまっててね」 「うん・・」 彼女の声に反応するように返事をして着苦しいスーツを脱いで部屋着に着替えリビングのソファーにもたれかかる・・・ 遅めの夕飯を口にするが味気なくておいしくない・・ルルーシュの作るご飯がおいしすぎたからか・・・ぼーっと口に運ぶだけの作業を終えて早々とベッドにもぐりこむ。 そうすると彼女も疲れたーといいながらベッドに入ってくる。 女性らしい柔らかなにおいのする可愛い彼女だけど・・・今欲しい匂いじゃ・・・ルルーシュのにおいじゃない・・・ 向かい合っていた体勢を変え彼女に背を向ける。 「スザク・・寝ちゃうの?」 きっと誘っているんだろう・・でも・・そんな気分じゃない。 「今日・・疲れちゃって・・」 「そう・・おやすみ。スザク・・」 彼女が自分の髪を後ろから撫でてくる・・その仕草も・・・。 あー・・思い出すのはルルーシュのことばかり・・。 多分僕はこれから一生ルルーシュを忘れられない・・。こんな思いのままここにいるのもよくないな・・彼女とは別れよう・・ねぇ・・ルルーシュ・・僕はきっと君以上に好きになれる人はこの先絶対いないと思う・・。会いたい・・会いたいよ・・ルルーシュ・・。 +++++++++++++++++++ ベッドに入ったスザクの横に入り込む。 背中を向けられてしまい疲れているというスザク・・。 残念・・・。 「そう・・おやすみ。スザク」 髪をなでる時に首の後ろのバーコードに目をやる・・。 「(あ〜ぁ・・今日でおしまいだったのにな・・この恋人・・。)」 +++++++++++++++++++++++++ 「いらっしゃいませ…どのような恋人をお探しですか?」 いつの間にか暗い路地に迷い込み勝手に足が向いたこの不思議な店… 出てきた店主も不思議な雰囲気の持ち主だった。 「恋・・・人?」 疑問を抱きながらその店主に質問する 「はい・・あなたの望む恋人や友達をこの缶で作れますよ」 店主が見せてくれたのは普通の缶詰よりも少し大きい缶詰。 その缶に書かれている似顔絵らしき絵に何故かとても引かれる・・・ 「種類はこれだけなんですか??」 信じてるわけじゃなかった…不信感もそれなりにあったけど好奇心の方が働いてしまった。 「種類は多数…お客様の好みに合わせていかようにも…」 店主が奥にかかっていたカーテンを開くといくつ物缶詰がずらりと並んでいた。 その缶詰を眺めていると二つの綺麗な絵が描かれた缶…それをおもむろに取ってみた。 「お客様…」 「え・・!!あっごめんなさい!触ってはいけなかったですか?」 「いえ…ただその二つの缶詰は一緒に使わないほうが良いですよ」 「え??」 店主はにこやかに忠告してきた 【その二つを一緒に使ってしまうとその二人が恋人になってしまいますので】 その二つの缶詰には緑の瞳と紫の瞳が・・・ END 100218 修正。 ブログ掲載から少し終わり方変えてみました!この缶詰屋で私はスザルル缶買い占めると思います!← |